フリーランス(個人事業主)として仕事し始めて5年。子育てしながら仕事する日々も3年になります。私の場合は、マーケティングの支援やウェブコンテンツのライター業なので、職場環境は問いませんし、納期以外には時間にも縛られない仕事をしています。
今のところ、自分にはあっていたと思われるフリーランスという働き方。そのメリットやデメリット、働く上で心がけるべきことなど、振り返って整理してみました。
職種や家庭環境によっては思うように行かない可能性もありますが、一つの例ということで、参考にしていただければ嬉しいです。
なぜフリーランスになったのか
私がフリーランスになったのは2016年。元はベンチャー企業に勤めていたのですが、2015年末で退職してから数ヶ月はのんびり過ごしていました。
退職の理由は完全なる自己都合で、一番は妊活疲れでした。心身ともに不調をきたしていたので、思い切って辞めてリラックスした状態で今後を見つめ直したいと思ってのことでした。*こちらの記事でも触れています↓
でも、いざ辞めてみると夫と二人暮らしの家で平日昼間から家にいて「何もしないでいる」のって難しいです。いや、もちろん最低限の家事はありますが、正直大人二人暮らしなら大した量じゃないですよね。永久的に仕事しないつもりもなかったので別に驚くことではないのですが、自分が「忙しくしているのが好き」なことを再認識しました。
そんなとき、知人から「時間があるなら仕事手伝って」的なお話をいただきました。「無理をしないで自分のペースで仕事をしていったら?」と理解のある夫や周囲から背中を押してもらい、少しずつ仕事を再開していったのです。
とはいえ「起業」というほどのビジョンもなければバリバリ稼ぎたいという意欲もない。まずは自分が気の済む程度に仕事をするのだからと個人事業主登録したというのが偽らざる経緯です。
家計についての考え方
先日とある女性起業家がセミナーでお話されていた内容がとても良いと思ったので、ご紹介します。大企業を辞めて起業したその女性は、起業時に旦那様と資金に関する相談をして、次の二つを明確にしたそうです。
- 生活に関わる費用は夫に家族の分を負担してもらう。仕事に関わる費用や交際費は、自分の貯金で賄う
- 撤退ラインを決めておく
パートナーの収入をあてにすることを負い目と感じる背景には、自立した活動ができない恐怖・不安があると思うのです。大人として、社会人として、働く女性の多くが共感できる部分ではないでしょうか。
この方もそうした考えから①のように財布の使い道を分けて考え、事業に関わる出費はパートナーに迷惑をかけずに自己判断するようにしたそうです。旦那様が安定した収入を得られることと、起業を応援する姿勢とが前提にはなりますが、はじめにはっきりしておくことは大事ですね。そして②で「2年で事業継続の見込みが立たない場合は撤退する」というような撤退ラインを予め明示しておくとで、さらに集中して取り組めるのではないでしょうか。
ちなみに、この方は「貯金の分だけ2年間チャレンジできる=社会人大学院(ビジネススクール)に行くようなものだから全然惜しくないと思えた」とおっしゃっていて、なるほどなあと感じた次第です。
我が家の場合も、やはり夫が基本的な生計をカバーしてくれています。私が家計経済的な視点を度外視して会社を辞めてしまい、またふらふらと仕事を始めて数年。経費に該当する出費は事業用のカードで支払い私の口座から落ちているため、一定の自立姿勢は保っているもの、産後数年は扶養の範囲で仕事していたというのもあり、厳密なルールを設けていないのが現状です。
学資用の貯金に毎月定額で…など、相談して月々の目標みたいなものを置いた方が良いのかもしれませんね。
フリーランスって営業が大変?
「フリーランスです」というと、フリーランスじゃない人からは「やっぱり営業とか大変なんじゃない?」と聞かれることが少なくありません。
でも、私の場合はほとんど営業ってしたことありません。
だいたい仕事をルートで分けると次の3つでしょうか。
- 直接仕事をしたことがある知人(昔の上司とか仲間、かつての取引先)からの依頼・紹介
- SNSなどでゆるい繋がりの知人による依頼・紹介(共通の知人からの評価を得ている)
- フリーランスのマッチングサービス経由での仕事
今は自分のできること、得意なこと、やりたいことを世の中に発信する仕組みがたくさんあります。SNSも面識のある方との既存のつながりを確認するFacebookと、過去の接点にとらわれず、情報を拡散するのに向いているtwitterとでは、有効な使い方が違うでしょう。個人の場合、企業とは違って固定のウェブサイトがなくても、大きな問題にはなりません。
私の場合は、扶養の範囲にとどめていたため、大々的な集客活動は行ってきませんでした。声がかかったら稼働可能な時間を自分で見積もりつつご相談というスタンスです。将来的にはウェブサイトを準備したりFacebookページを開設する可能性はありますが、今のところは足りています。毎月固定額で契約し、期間内で発生する業務を対応する長期的な案件を1,2個と、単発で対応する案件を2,3個並行で…というのが多いパターンです。
実績ができると「こんなことできますか?」の問いに過去の実績ベースで見積もることができるようになります。それも既存のお取引先との仕事を太くしていく上では大事なことだなと感じています。
なお、フリーランスの人材紹介(マッチング)の仕組みは色々ありますが、登録してみたのは以下の3つです。知人に頼らずチャレンジしたかったのと、どんな仕事があるのか知りたかったというのが動機で、昨年初めて登録し、CARRY MEでは実際に一件お仕事もいただきました。
登録案件の検索画面の使い勝手がイマイチだったのが少し残念です。また、声がかかったのをお断りしたらメールの返信がないとか、少し気になる担当者もいたのですが、これは人によるのだろうと思います。現に私を仲介してくれた担当の方は、利用企業側のニーズもきちんと理解しており、しっかりとコミュニケーションをとってくれたという印象です。
フリーランスのメリット・デメリット
そこで改めてフリーランスで働くことのメリットとデメリットについてまとめて考えてみます。
メリット
- 時間や働く場所など、自由度が高い
- 社内の人間関係の煩わしさから(ほとんど)解放される
- 仕事を受けるか否か、また料金設定も全て自分の裁量
- (組織を離れて改めて)ビジネスパーソンとしての自覚が芽生える
デメリット
- 責任は全て自分で
- 孤独。壁打ちする相手や仲間が欲しい時もある
- 料金交渉や契約、請求に納税申告など事務処理も自分で
- 年金や保険などの制度が手薄
いかがでしょうか。
福利厚生は正社員ならではのメリットですし、大きな会社の配置転換、小さな会社の兼任、など一定の組織の枠内でさまざまなチャレンジをし、スキルアップする機会にも恵まれます。
一方でフリーランスは一匹狼。
他に責任を取ってくれる人もいませんが、やるかどうか決めるのは自分。本質的な「仕事」に時間を費やすのであり、社内の人間関係に心を消耗せずに済みます。仕事を通じて、興味分野が広がったりさまざまな会社の良い点を知る機会があるのも、フリーランスならではといえます。
今は、比較的副業を認める会社も増えているようなので、副業・兼業という形で徐々に比重を変えていく慎重な進め方もありだと思います。
フリーランスに向いている人、向いていない人
とはいえ、フリーランスという働き方は向き不向きもあると考えています。向いていると思われる人は、以下3つのうち2つ以上の要素を持っている人ではないでしょうか。
- 専門性がある(ものすごく突き抜けている人も)
- 求められていること、必要なことをきちんと理解できて、周囲とうまくやれる
- 切り替えが早い
業務委託を受けるフリーランスという職種は、いわゆる傭兵のような存在です。
最近では、ずば抜けたスキル・技術を持っている人が会社の枠組みから離れて独立するケースも珍しくありません。明らかに秀でた分野やスキルのある人は仕事が途切れないでしょう。案件を成功させた実績は口コミをうみ、その人の営業ツールにもなっていきます。
とはいえ、誰もがそんなずば抜けた力を発揮できているはずもなく。個人的に2番目がとても重要だと思っています。これを実践するには、
- 相手が何に困っているのか、本質的に理解できること
- 課題を解決するとどうなるのか想像して取り組めること
- 相手の気持ちに共感したり、立場を重んじて対応できること
- やるべきことを切り分けられること
この辺りが複合的に必要な力ではないでしょうか。自分の価値を最大限発揮したいと願うからには、その仕事が、相手が、職場が自分に求めるものが何かを理解して動かなくてはいけないからです。
社内の人間関係やしがらみからは離れているものの、チームで複数名で仕事をするような場合、背景を含めて相手の立場や性質を理解することからは逃れられません。その上で、自分のやるべきことが何かを明確にし、一つ一つ結果を出していくのです。
最後の「切り替えの早さ」は、持っていた方が楽に仕事に取り組めるスキルですね。
結果がすべての世界で思うような成果が出せなくて己の実力不足に泣いたり、取引先の社長から話を受けたものの、管掌部門のマネージャーは社長の方針に賛同しておらず、業務がスムーズに進まない」なんて話も珍しくありません。(後者は似た経験があります…)
実力不足を反省したり、進め方を改善できないか考えることは有意義です。ただ、自分の努力と関係のないことに時間を費やすのはお勧めしません。くよくよしても仕方がないこともあります。ときには同じ会社にずっといる身ではないのだから、と割り切ることも健全ではないかと思うのです。
フリーランスだろうと正社員だろうと社会人として成長していく上ではさまざまな困難に直面することからは逃れられません。一つずつ正面から取り組んでいくのみですね。
フリーランス母がすすめる「フリーではたらくのに必要な心構え」とは
「心構え」などと書くとお堅い感じがしますが、子育てしながらフリーランスで働きたいと考えている女性に向けた、一事例だと思って読んでいただけたらと思います。
お話してきたとおり、フリーランスという働き方が今の私にはあっていると感じて過ごしています。とはいえ、起業するほどのビジョンも力もないという消極的なプランで始まった生活なので、ひとさまに偉そうに語れることでもない…と思うこともしばしば。
そんな私ですが、ありがたいことに産後の数ヶ月を除き、仕事が一つもなかった時期はありません。フリーランスという身軽さを生かして、誰かの「ちょっと助けて」「ちょっと手伝ってくれない?」の声に「私でよければ」とできる限り応える姿勢でいます。ときには、自分にとって少しチャレンジングかな?と思われる話にも取り組んできました。
そこで、子育てをしながらフリーランスとして活動している中で、自分が心がけていることって何だろう?と改めて考えてみました。
1. 子育て中の制約をはっきりと条件として伝えること
子育てしながらだと予定通りいかないこともあるし、引き受けられない仕事内容が出てきたりもします。その辺はあらかじめ自分で考えた上で交渉・判断していくべきです。それに、育児経験がない相手だと、こちらの制約を想像できない場合もあります。恥ずかしいことでもないし、カッコつけても意味ないので、きちんとできる範囲を伝えなくてはいけません。
2. 誠心誠意で信頼に応える(目指せ101%)
自分の仕事を本質的に理解することがまず大事です。
そして相手の期待には101%で応え続けるつもりで仕事をします。150%!とかってインパクトがありますが、なかなか続きません。少しでもプラスアルファが返ってくる相手とは仕事がしやすいし、頼れますよね。
3. 時間の重みを意識して仕事すること
これは多分自然と実感すると思います。家事もあればもっと子どもと関わる時間を作りたいと思うこともあるでしょう。その中からあえて仕事する時間に当てているのは自分です。貴重な時間、価値あることに使えるようにしたいものです。
4. 卑屈にならない。慢心しない。
育児でしばらくビジネスの世界から離れていると、なぜか自信がなくなっていきます。私も「自分はもう子どもとしか会話できないんじゃないか」とか思いました(笑)。困ったときに昔の仕事仲間に意見を聞こうとmessengerを送るのを躊躇したり、そうした旧友の活躍ぶりを遠目にみて羨んだりするのは「らしくないな!」とあるとき急に気が付いたのです。
自分でスキルアップの習慣をもったり(私の場合は、定期的に情報収集とアウトプットすることで感覚を戻そうとしました)、人との接点を積極的に持つのも良いと思います。
一人でも卑屈になることはありません。過大評価も過小評価もせず、前進あるのみです。
5. 周りへの感謝。とにかく感謝。
私の場合、夫が会社員として一定の収入を得てくれている上で、かなり自由に仕事することができていると思います。一時保育などを活用しつつも、いざとなれば娘たちの世話を頼める義両親や母の存在もあり、家族の支えあっての生活です。
仕事が紹介や知人からの依頼で成り立っているのも、自分を信頼してくれる方がいることの裏返しです。本当にありがたく、だからこそ誠心誠意取り組まなくてはと気持ちが引き締まります。
やりたくてやってる仕事。感謝の気持ちを忘れたら成長もないし、楽しい縁も途切れてしまうと思っています。
さいごに
厳しいことを書いておきながらナンですが、ときどき自分を甘やかすのも大事です。
「よくがんばってるね」って。
フィードバックをきちんとくれる取引先の方はとてもありがたい存在で、そういう人から感謝されると本当に嬉しいもの。でも必ずしもそういう相手ばかりではないので、自分で振り返って言ってあげるのです。
子育てしながらフリーランスの道も悪くないですよ。
自分らしく暮らし、自分で選んだ仕事を全うし、社会人として前進していく。
家にいながらも、ときどき仕事の顔をする。
そんな母の背中を見せるのも、良いかなと思う今日この頃です。
ちょこ