読書

【おすすめ本】ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ

突然ですが、世界史はお好きですか?

私は大好きです!

10代前半の夢は考古学者で、歴史の中でもとくに世界史に興味がありました。
お小遣いで最初に買った本は三国志でしたし、当時のお気に入りは日本史では藤原不比等、世界史ではハンニバルと、わりと古い時代に目が向いていたように思います。

中学校ではフランス革命にはまり、高校では受験教科の要として世界史図説を愛読する日々。大学では中世都市の法制度を研究対象し、趣味で他学部の東洋史・西洋史の授業を聴講していました。

世界史では時代も地域もたくさんの人や出来事に触れられます。情報量が膨大で一つずつが薄くなりがちですが、きちんと理解して、各時代・地域・事件などを広い視点で関連づけていくのは本当に楽しい時間です。(人に教えようと思うとこの思考法が必要になります)

そう。この、歴史を総合的に理解することの楽しさは私もよくわかっているつもりです。
それなのに、当時から私は現代史はあまり得意ではありませんでした。
思えば、生々しい現実はすべて過去が連れてきた結果なのに、歴史で習うことはすべて昔のこととして区別し、想像の世界に逃げてしまっていたのではないでしょうか。

ああ、なんて愚かなんでしょう。もったいない。

そんなことを最近改めて気づかせてくれたのが、駿台予備校世界史講師として数々の著書を出されている茂木誠さんの新刊
ニュースの”なぜ?”は世界史に学べ 日本人が知らない100の疑問 (SB新書)です。

大きな目次はこちら。国際情勢でよくニュースを耳にする地域の話題です。

第1章 ヨーロッパの憂鬱ーウクライナ問題と難民問題
第2章 台頭するイスラム過激派と宗教戦争
第3章 アメリカのグローバリズムと中国の野望

「今更聞けない」というような100の質問を設定し、様々な紛争や問題の根本的な原因や発端から丁寧に紐解いてくれるため本質的な理解につながります。

ギリシャの財政破綻、ウクライナとロシアの対立、ヨーロッパへの移民問題、イスラム過激派の正体、中東の国々の成り立ちや政治的な対立、アメリカ国内の政治・経済の構造、中国の外交の意図……確かに気になる話題だけど、語れるほど詳しくないという人がほとんどではありませんか?
なんとなくしか知らないという方は、少しでも興味があるなら手に取っていただきたい良書です。
代表的な紛争の背景や関係国のパワーバランスを知ることで、右から左へ流れていたニュースがちゃんと耳に入ってくるようになるはずです(笑)。メディアが発信するニュースの有りように疑問を感じることも出てくるでしょう。

世界は想像するより広くも遠くもなく、日本もその一部でしかありません。
爆発的に人口が増加し、産業が進歩する国もある一方で、私たちは少子高齢化が進み、人口が減少する国に住んでいるという現実に直面しています。
私たちの世代は、思春期はバブル崩壊後で就活は氷河期。世界経済を牽引する日本という実感値を伴わずに育ってきたように思います。
でも自分たちの文化を大切にし、子供を生み育て、幸せな暮らしを実現していくためには、ひとりひとりが世界と自国との関係性にもっと関心を持ち、知識を深めることは欠かせないと思います。

ちなみに歴史の苦手な方は、往々にして習う過程で「暗記モノ」だと認識しがちです。(残念ながら、そういう教え方しかされなかったかもしれません……)
そうした苦手意識のある方でも気軽に読める内容ですので、読まず嫌いをせず、書店でチラ見程度でも参考にしてみてください。

豊かな人生を送るために、知識をテストされる場のない大人だからこそ、意識的にインプットを続けていきましょう。